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自殺者が増加している今だからこそ。話の聴き方テクニック9選!(後編)

 

 

 

 

  

11年ぶりに自殺者が増加。だからこそ話を聴くスキルが重要

厚生労働省と警察庁による「令和2年中における自殺の状況」によれば、令和2年度は11年ぶりに自殺者が増えたとされています。そんな今だからこそ、しんどいひとの話を聴くためのスキルを身に付けることが重要ではないでしょうか。
 
そして、前回の記事では話の聴き方テクニックの9つのうち、4つのスキル(1.あいづち・うなずき、2.キーワードのくり返し、3.オウム返し、4.感情に触れる)についてご紹介しました。

今回は、前回に続いて話の聴き方テクニック9つのうち、残りの5つのスキルについて解説していきます。

 

 

話を聴くスキルを身につけるメリットとは

自殺者数が増えている今、話を聴くスキルを身につけるメリットはあるのでしょうか?実は、話を聴くスキルには、以下の3つのメリットがあるのです。それでは、詳しく見ていきましょう。

メリット①しんどいひとの心に寄り添うことができる

話を聴くスキルがあれば、しんどいひとの心に寄り添うことができます。例えば、今まで誰にも話せなかった悩みを打ち明けられたとき。きちんと話を聴くことができれば、心に寄り添う適切なかかわり方になります。心に寄り添う話の聴き方をすることで、もしかしたらしんどい心を癒すことができるかもしれません。

メリット②相手との信頼関係を築ける

きちんと話を聴くことで、相手との信頼関係を築くことができます。例えば、きちんと話を聴くことにより、相手は「あなたに話してよかった」「もっと話を聴いてほしい」という気持ちになるかもしれません。このように、きちんと心に寄り添うことができれば、どんどん心を開いてくれることが期待できます。

メリット③相手の感情の浄化を促すことができる

話を聴くことによって、相手の感情の浄化を促すことができることが期待できます。感情の浄化とは、心にたまったストレスや不快な感情が、きれいに洗い流されたような感覚になることです。この「感情の浄化」が起こることで、話をしただけで心が軽くなったような感覚を覚え、すっきりした気分になれるのです。

 

話の聴き方テクニック9選!(後編)

前回はアメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズの「来談者中心療法」をもとに、4つの話を聴くスキルをご紹介しました。ここでは、引き続き話の聴き方テクニックの残り5つのスキルについて、詳しく解説していきます。

 

5.質問

質問の仕方は、2種類あります。イエスかノーどちらかで答えられる質問を「クローズドクエスチョン」、イエスかノーで答えられない質問を「オープンクエスチョン」と言います。

例えば、話を聴いている中で、言葉が出てこなくなったり、言葉に詰まったりしたとき。「このままこのお話を続けても大丈夫ですか?」とクローズドクエスチョンを使うことで、相手の心理を確かめることができます。

もしも答えがイエスなら、そのまま待ってみましょう。答えがノーなら、別の話題に切り替えて話をすることが良いかもしれません。

また、話をもっと詳しく聴きたい時は、「今、どんなことが心に浮かんでいますか?」とオープンクエスチョンを使うことで、より多くの情報を受け取ることができます。このように、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを、その場面によってうまく使い分けることがポイントです。

 

6.内容の再確認

話を聴いている中で、ある程度相手の話を聴いたら、自分が聴いた内容がずれていないかどうか「内容を再確認」しましょう。具体的には「それはつまり、〜ということですか?」という感じで、話を簡潔にまとめてあげるイメージです。

内容の再確認をすることで、話を聴いた内容がずれていないかどうかを確認し、もしもずれていた場合は修正することができます。こうすることで、相手は「私の話をちゃんと聴いてくれている」と感じ、安心して話をしてくれることが期待できます。

 

7.促進

話の中で重要だと感じる場面や、もっと話を聴いてみたいと思った場合は、「促進」というスキルを使います。促進とは、「〜について、もう少し詳しくお話頂けますか?」や「それはつまり〜ということですか?」と伝えることです。こうすることで、さらに深く話の内容を掘り下げることができます。

 

8.フィードバック

話を聴くスキルの中には、自分の気持ちを相手に伝えるためのテクニックもあります。それが、「フィードバック」です。これは、話を聴いた内容に対して、「私は〜ということについて、〇〇です」と伝えることです。

例えば、「いじめを受けていて、誰も助けてくれなかった」という内容の悩みを聴くとき。ここで、フィードバックを使うと、「私は誰も助けてくれなかったということについて、とても悲しい気持ちになりました」というようなイメージです。「私はあなたの話を聴いて、こう感じました」というように、自分の気持ちを使えることが「フィードバック」です。

フィードバックをすることで、相手に「このひとは私の話を聴いて、こんな風に感じてくれるんだ」という気づきを与えることができるかもしれません。

 

9.沈黙への対応

最後のスキルは、「沈黙への対応」です。話を聴いていると、どこかのタイミングで沈黙になるときって必ずありますよね。もしかしたら、沈黙が苦手という方も多いかもしれません。でも、実は沈黙ってとても大切な時間なのです。

頭の中で一生懸命何かを考えているときは、つい沈黙してしまいますよね。そんなときは、話ではなくて「ジェスチャーや仕草に問いかける」ことがポイントです。

例えば、目を閉じて沈黙していたら「目を閉じていますが、今何が見えていますか?」と質問したり、腕を組んで沈黙していたら「その腕がもし話せるとしたら、何て言ってますか?」と問いかけたり。このように、沈黙になったときは、ジェスチャーや仕草にアプローチしてみましょう。

 

いかがでしたか?今回は「自殺者が増加している今だからこそ。話の聴き方テクニック9選!(後編)」という内容を書きましたが、話を聴くことの重要さを感じて頂けたのではないでしょうか。 

もしあなたの大切なひとがしんどいときは、気持ちに寄り添うことができる9つのスキルをぜひ試してみてくださいね。

 

<出典>

・厚生労働省自殺対策推進室/警察庁生活安全局生活安全企画課「令和2年中における自殺の状況」

・カール・ロジャーズ「来談者中心療法」

コロナ鬱娘がうつ病息子がうつ病死にたい鬱とは
まつお けいすけ

まつおけいすけ

全心連公認プロフェッショナル心理カウンセラー 中学時代いじめを受け、毎日死ぬことばかり考えていたとき担任の先生に救われました。 今度は私が『心の居場所がない人たちの居場所になる!』と決め、プロの心理カウンセラーになりました。現在は福岡でカウンセリングやメンタルの講師等、心に寄り添う活動をしています。夢は『自死をなくすこと』です。