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自殺者が増加している今だからこそ。話の聴き方テクニック9選!(前編)






11年ぶりに自殺者が増加。だからこそ話を聴くスキルが重要な理由

厚生労働省と警察庁による「令和2年中における自殺の状況」によれば、令和2年は11年ぶりに自殺者が増加しました。自粛疲れや在宅ワークによるストレスなど、さまざまな要因でしんどいと感じるひとが増えているのかもしれません。
 
だからこそ、しんどいひとの心に寄り添うための「話を聴くスキル」を身につけることが重要なのではないでしょうか。それには、このような理由があります。

ストレスが減る

話を聴くスキルは、相談者のストレスを減らすことが期待できます。例えば、イライラしている時に話を聴いてもらって、すっきりしたという経験はありませんか?これは、話を聴いてもらうことで、自分の中に溜め込んでいたストレスが表出され、ストレスが緩和したと考えることができます。

心が軽くなる

話を聴くスキルを使うことで、相談者の心が軽くなることが期待できます。話を親身になって聴くことで、相談者は「私のことをわかってくれた」という気持ちになったり、「もっと話を聴いて欲しい」という気持ちになったりしてくれるかもしれません。

信頼関係ができる

話を聴くスキルを使って話を聴いてあげることで、相談者から「この人は信頼して話ができる」と思っていただけるかもしれません。そのような信頼関係が築けたら、これから先も悩みを打ち明けてくれることが期待できます。


話を聴くだけで相談者の心がすっきりするのはどうして?

話を聴くスキルを使ってきちんと話を聴いてあげることで、相談者の心がすっきりするのはどうしてでしょうか?それには、以下のような理由があります。実は、相談者の心の中で3つのことが起きているのです。

自己洞察

まず1つ目は、「自己洞察」です。つまり、「自分自身と向き合う」ということが起きているのです。話をするということは、自分の状況を言葉で表現するということです。そのため、自分のことを客観的に考えたり、今までは気づかなかった感情に気づいたりすることがあります。話を聴いてもらう過程で、自分自身と向き合うことができるのです。

自己理解

次に2つ目は、「自己理解」です。自己理解とは、「自分のことを理解することができる」ということです。自分自身と向き合う過程を通して、「今自分がしんどいのは、こういうことだったんだ」というように、自分で自分の状況を理解することができます。

感情の浄化

最後の3つ目は、「感情の浄化」です。感情の浄化とは、まるで心の中に溜まっていた感情が洗い流されたような感覚になることです。例えば「イライラしていた気持ちが消えた」とか、「ずっと悩んでいたことが解決した」というように、心がすっきりする体験が起こります。これが、話を聴くことで心がすっきりするメカニズムです。


話の聴き方テクニック9選!(前編)

ここまでで「話を聴くスキルは大事だ」ということがわかっても、実際にどうやったら良いのかわからないですよね。でも、実は会話の中でちょっと意識するだけで、話の聴き方は変わってきます。ここでは、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズの「来談者中心療法」をもとに、具体的なテクニック9選のうち4つのスキルを詳しく解説していきます。


1.あいづち、うなずき

あいづちやうなずきは、話の切れ目で適宜行うことがポイントです。例えば、あいづちは「そうなのですね」や「そんなことがあったのですね」というように、単調な言葉のくり返しにならないようにしましょう。
 
また、「うん、うん」というあいづちは、不快に思う方もいるかもしれないため、控えた方が良いかもしれません。うなずきは、「話を聴いていますよ」ということが伝わるように、しっかりと意識してうなずきましょう。

2.キーワードのくり返し

「キーワードのくり返し」とは、「会話の中で印象に残ったキーワードだけをそのまま言う」ようなイメージです。例えば、「この間ケンカしてしまって」と言われたら、「ケンカ?」と言うような感じです。そうすることで、「ちゃんと話を聴いてくれている」と思ってくれることが期待できます。

3.オウム返し

「オウム返し」は、キーワードのくり返しと近いテクニックです。例えば、「この間ケンカしてしまって」と言われたら「この間ケンカしてしまって」というように、まるで鏡になったように「そのままくり返すこと」がポイントです。
 
 
ここで注意すべきことは、「自分の考え、解釈、価値観、評価を入れない」ということです。
 
 
具体的には「この間ケンカしてしまって、つらかったですね」というように、勝手に自分の解釈を入れてしまうと、もしかしたら相手はつらかったと思っていないかもしれません。そうなると、「全然私の気持ちをわかってくれない」と思われる可能性があります。そうならないように、オウム返しはそのままくり返すことが大切なのです。

4.感情に触れる

話を聴くときは、「相手の感情に触れる」ことが重要です。そのために、会話の中で「そのときどんな気持ちでしたか?」という問いかけをしてみてください。そうすることで、相手は自分の気持ちがどんな気持ちだったのかを探し始めます。
 
これが、感情に触れるということです。
 
そして、例えば「そのとき悲しかったです」というような具体的な感情が出てきたら、「それは悲しかったですね」と、その感情に共感してあげましょう。この流れが、信頼関係を築く上で重要なポイントです。
 
 

いかがでしたか?今回は「自殺者が増加している今だからこそ。話の聴き方テクニック9選!(前編)」というテーマで書いてきましたが、話を聴くスキルの重要性がイメージできたのではないでしょうか。後半では残りの5つのテクニックを解説しますので、ぜひ次回の記事もご覧くださいね。


<出典>

・厚生労働省自殺対策推進室/警察庁生活安全局生活安全企画課「令和2年中における自殺の状況」

・カール・ロジャーズ「来談者中心療法」

うつ病とは娘がうつ病息子がうつ病死にたい
まつお けいすけ

まつおけいすけ

全心連公認プロフェッショナル心理カウンセラー 中学時代いじめを受け、毎日死ぬことばかり考えていたとき担任の先生に救われました。 今度は私が『心の居場所がない人たちの居場所になる!』と決め、プロの心理カウンセラーになりました。現在は福岡でカウンセリングやメンタルの講師等、心に寄り添う活動をしています。夢は『自死をなくすこと』です。