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心には形があるって本当?
私たちは、心を実際に目で見る事は出来ません。心が目では見えないからこそ、しんどいのについつい頑張ってしまう時ってありますよね。でも、もし心が目に見えて、心の表情が把握出来るとしたら、どんな事が出来るでしょうか。
実は、心は目に見えなくても、心理学的には「心の形を把握する方法」があるんです!
心の形は5種類に分けられる
心の形を把握する方法は、精神科医エリック・バーンによって提唱された「交流分析」の理論が元になっています。交流分析って、何だか難しそうな気がしますよね。
でも、実はとってもシンプルな理論で、心を整える時に役立つんです!
交流分析では、心の状態は「親、大人、子供」という3つで考えます。
そして、エリック・バーンの弟子であるジョン・M・デュセイが、心の状態をより細かく5種類に分類し、「エゴグラム」という性格診断法を考案したと言われています。
<心の形5種類>
・厳しい親(Critical Parent:CP)
・優しい親(Nurturing Parent:NP)
・大人(Adult:A)
・自由な子供(Natural Child:NC)
・従順な子供(Adapted Child:AC)
エリック・バーンやデュセイによれば、心の形はこの5つの要素で表す事が出来るとされています。
エゴグラムはあなたの心を整える手がかり
エゴグラムは、あなたの心が「今、どんな状態になっているのか」を把握する手がかりになると考えます。
何故なら、エゴグラムは自分自身で変える事が出来るからです。
例えば、しんどい時にエゴグラムを使えば、しんどい原因を追跡する事が出来ます。そして、しんどい原因を手放すにはどうすれば良いかを考える事で、心が楽になる方法が見えてきます。
だからこそ、エゴグラムは心を整える手がかりになるのです。
心を知るって大切
心を知るって、心を整える上ではとても大切な事だと考えます。何故なら、自分の心の傾向や性質を知っていれば、心が不調の時に適切にケアする事が出来るからです。例えば、風邪を引いた時。熱が出ている事が分かれば、熱を下げるお薬を飲んだら楽になりますよね。同じ様にいつもの自分の心を知っていれば、心がいつもよりしんどい時や不調になった時に、心を整えるという対策が取れます。だからこそ、心を知る事は、心の健康にとって役に立つかもしれません。
あなたのCP度をチェックしてみよう!
心の状態「CP」って、何?
心の状態の中で、まずは「CPとは何か?」について解説します。
CP(シーピー)は、エゴグラムによれば「厳しい親」という心理状態であるとされています。これは、親や親的な役割の人から言われた言葉や思想等が、頭に浮かんでいる状態です。例えば、「ご飯は綺麗に食べなさい」とか、「約束は破ったらダメよ」とか、自分自身に条件を付けたりルールを課したりする様なイメージです。
エゴグラム上では、完璧主義の方やルールを厳しく守る傾向のある人はCPが高く、楽観主義の方や規則を守るのが苦手な人はCPが低い傾向になりがちだとされています。CPが高い人は、自分の価値観が正しいと思っており、責任感を持って行動する人。CPが低い人は、大雑把な性格の人をイメージするとわかりやすいかもしれません。
あなたのCP度を測る10の質問
それでは、実際にあなたのCP度を可視化していきましょう。
以下の質問に、はい=◯、いいえ=X、どちらでもない=△で答えてみてください。
深く考えず、直感で大丈夫です。
それでは、スタート!
1.子どもや職場の後輩に対して、厳しく教育する方ですか?
2.社会の伝統、倫理、道徳などを重視する方ですか?
3.周りの人に緊張感を与える方ですか?
4.意見をはっきり主張する方ですか?
5.批判的な面を持っている方ですか?
6.人の長所より欠点が目につく方ですか?
7.人の不正や失敗に厳しい方ですか?
8.責任感を大切にする方ですか?
9.決まり事や規則を厳格に守る方ですか?
10.「〜すべきだ」「〜しなさい」という言い方をする方ですか?
質問は以上です。では、次にCP度を数値化してみましょう。
あなたのCP度を数値化してみよう!
先程の質問で、◯の数=2点、Xの数=0点、△の数=1点として、点数を出してみてください。
そうすると、あなたのCP度は0点〜20点の範囲で点数が出ます。
ここで注意事項ですが、点数の結果は決して良し悪しではなく、あくまで「今の心の状態」です。
心はいつも一定ではないものなので、CPが8点の時もあれば、12点の時もあるものです。
でも、どんな点数でも、あなたはあなたです。
あなたのCPの点数がどんな結果でも、あなたは変わる事も出来ますし、そのままで居る事も出来ます。
では、次にCPを上げる方法について解説していきます。
あなたのCPの心を整える処方箋とは?
CPを上げる行動の処方箋
ここでは、CPの数値を上げる為に、どの様な行動を意識すれば良いかを書きます。
〜CPを上げる行動例〜
・規則やルールを守る
・責任を持ってやり遂げる
・簡単に妥協しない、諦めない
・「まぁいいや」と投げやりにならない
・イエス、ノーをはっきり言う
これらの行動をあまりやっていなかったなと思う事があれば、意識してみてください。そして、この様な行動が習慣になれば、あなたのCPの数値が変わっているかもしれません。
CPを上げる言葉の処方箋
ここでは、CPの数値を上げる為に、どの様な言葉を使えば良いかを書きます。
〜CPを上げる言葉の例〜
・「〜してください」
・「約束は守ります」
・「必ず〜します」
・「それはだめです」
もし、普段あまり使わないなという言葉があれば、意識して使ってみてください。そうすれば、あなたの行動もだんだんと変わってくるかもしれません。
大事なのは心を整える習慣
今回は「あなたの心はどんな形?心を整える5つの処方箋その1」というテーマで、CPについて取り上げましたが、いかがでしたか?
心を数値化出来るという事や、心を知る事の大切さをお伝え出来たのではないかと思います。
エゴグラムは、「あなたの心の状態を知る手がかり」です。誰かと比べたり、点数の良し悪しで判断する事ではありませんので、心を整える一つの手段として知っておいて頂ければ嬉しいです。
是非、定期的にエゴグラムをしてみてくださいね。
次回の記事では、「優しい親」の心の状態であるNP(エヌピー)について解説します。NPを知る事で、疲れた時に自分を癒やしたり、自分や誰かにもっと優しくなれたり、そんな心の余白を持つきっかけになるかもしれません。
次回の記事も、お楽しみに!
<出典>
・エリック・バーン「Games People Play」
・ジョン・M・デュセイ「エゴグラム-ひと目でわかる性格の自己診断」
まつおけいすけ
全心連公認プロフェッショナル心理カウンセラー 中学時代いじめを受け、毎日死ぬことばかり考えていたとき担任の先生に救われました。 今度は私が『心の居場所がない人たちの居場所になる!』と決め、プロの心理カウンセラーになりました。現在は福岡でカウンセリングやメンタルの講師等、心に寄り添う活動をしています。夢は『自死をなくすこと』です。